業務支援 |
三次元GISというと、写実的できれいな街並みを三次元的に表現した景観表示を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかしながら、それは必ずしも三次元GISの一般的な姿とはいえません。
従来の二次元のGISを振り返ると、使用される業務分野における多様な情報を直感的にわかりやすく表示するために、色分けや記号表示など、各種の抽象的な表現を用いた地図表示を行っています。必ずしも写実的な地図である航空写真を利用してきたわけではありません。
三次元GISでも同じことがいえます。業務支援を主目的とする場合には、三次元GISにも、建物や地下埋設物などをその属性により分かりやすく抽象的に表現する方式が求められます。また、このような三次元GISは、多くの自治体の既存の空間データなどですぐにでも構築可能なのです。
低コスト |
低コスト地理情報システムのコストの7~8割は、電子的な地図やデータの整備費だといわれています。三次元GISの導入には、それ専用のデータの整備が必要であり、そのコストが膨大であるため現実的ではないと考えられてきました。
ピープルメディアは、実証的な研究を繰り返し、すでに自治体の皆さんが所有しているDM地図、オルソフォト、DEMなどを利用することにより、追加のデータ整備の費用をほとんど必要とせず三次元GISに移行できる方式を提示しました。例えば、都市計画用の二次元のGISをすでに運用中で、建物の階数別現況図を生成できるようであれば、そのデータを活用して、すぐにでも三次元GISに移行することができます。
また、航空測量時に取得したオルソフォトとDEMもしくは、三次元DMの等高線があれば、その自治体全域の三次元GISを構築することが可能です。
国土交通省の「平成14年度GIS整備・普及支援モデル事業における実証実験データベース理活用実験」に参加し、福岡市の協力を得て開発した三次元GISを紹介します。
20年前に開発された事実上日本で最初の実用的な三次元GISで、現在でも機能的、性能的に最先端のシステムとなっています。
20年前のCPU, MEMORY, グラフィックスボード(現在主流のGPUとは異なる)で、十分な性能を実現していました。
都市計画支援 |
都市の全域表示
2002年の福岡市の各種地図(空間)情報をデータベース化し三次元GISを構築しました。
福岡市全域の俯瞰から、特定の地域、建物に接近した表示まで自由な視点で街並みの三次元的な構造や空間利用を確認することができます。
例えば、左の図の赤色で表示されている建物は商業的な建物、黄色で表示されている建物は住居建物を表しています。
博多駅周辺
博多駅前を俯瞰した例です。博多駅周辺の建物の配置などがわかるだけでなく、立体的な空間の利用状況を明確に確認することができます。
建物の属性表示
各建物は、データベースの情報に基づき表示されているため、データベースの情報を変更すれば、その建物の位置や形状の表示も変更されます。
また、建物の屋上部をクリックすると、その建物の属性情報が、ウィンドウの右側に表示されます。
指定階の属性表示
福岡市の都市計画GISのデータベースでは、各建物の属性情報のみではなく、各階ごとの属性情報も記録されています。
中央の建物は、1階、2階と3階以上がそれぞれ異なる用途で使用されていることを見て取ることができます。
三次元GISのデータベースにもそのデータは組み込まれているので、各階の側面(壁面)をクリックすると、階ごとの固有の属性情報を表示、確認することができます。
地下埋設物管理 |
地下埋設物の透過表示
この三次元GISには下水道の情報もデータベースに記録されています。道路のレイヤー表示を半透明もしくは消去すると、下水道の配置や構造を確認することができます。
地下埋設物の情報としては、上水、下水、電力、ガス、通信、地下鉄の情報の提供を受け、それらをデータベースに記録し、複合的に管理、表示、参照できることが確認できています。
マンホールの属性表示
道路のレイヤー表示を消すと、地下埋設物の配置の様子が明確に確認できます。
この例では、人孔(と命名されています:マンホールですね)のクリックをした例です。ウィンドウの右側に、その人孔の属性情報が表示されています。
道路占有物管理 |
道路および占有物のみの選択表示
建物などの地物(レイヤー)の表示をやめ、道路と道路専有物のみの表示を行った例です。
道路と道路専有物の経路・配置が明確に確認できます。
街路樹の属性表示
福岡市が管理している街路樹のデータもデータベースに記録されており、その内容に基づき、街路樹が三次元的に表現されています。
街路樹のデータとしては、樹木の種類、高さ、枝針などが記録されて、各樹木をクリックするとその属性情報をウィンドウの右側で確認することができます。
- 2003年2月10日
- 平成14年度GIS整備・普及支援モデル事業における実証実験データベースの利活用実験の報告会および展示会に参加しました。
- 2002年6月14日
- 国土交通省の「GIS整備・普及支援モデル事業における実証実験データベース理活用実験」の福岡地区に2件の参加申請を行いました。
報告会
展示会